家が川沿いにあるからか、灯りに誘われて様々な虫が集まってくる。
大半は小さくて名前も知らないような虫ばかりだけど、ガガンボだけはひときわ目立って、今日”も”いるということを意識させる。
近寄ると活発に飛び回って、もともと大きな存在感をさらに強調してくる。
その上、灯りに誘われているようないないような、不思議な飛び回り方をしている。
壁をバウンドするように
灯りに近づき遠ざかり
動きの目的がよくわからなくて、何のために生きてるんだろう、なんて傲慢な思いが浮かんだこともあった。
今は違う。
人間だって同じなんだ。
灯りをお金に置き換えてみよう
灯りを恋愛に置き換えてみよう
灯りを承認に置き換えてみよう
灯りを…
なんだ、変わらないじゃない。
ぼくは今、無駄に電気を点けて、ガガンボを飛び回らせている。
社会は朝、自然の光をきっかけに、ぼくを動き回らせる。