にぼし その2

にぼしを食べようとして、自分と同じような顔を見て、命を感じる。

 

自分と同じような顔だから、特別に強く命を感じてしまう。

それは、自分も命ある存在なのだと、強く信じていることを示している。

そして、目の前のにぼしのように、自分もいずれ命をなくすということも。

 

飽きて疲れて、空虚感の中を漂っていると、自分が生きているという感覚もおぼろげになっていく。

そんな中、ふと見つめたにぼしに、そこにかつて宿っていただろう命を強烈に感じた。

なぜ突然、命なんて感じたのか。

根拠を求めて心の中を探っていくと、どうやら顔が似ているかららしい。

似た存在に命を感じて、自分の命を思い出す。

ああそうだった。自分も命ある存在として、生きているのだった。

 

そうしてまたにぼしを見つめる。

かつてあったはずの命は干からびていて、自分の指先にはただ物をつまんでいるのと同じ感触しかない。

また気づいた。命はこんな風に、きれいさっぱりなくなってしまうんだ。

にぼしが命をなくしたのなら、似ている自分だって命をなくすことができる。

 

生き続けることを思うと疲れてしまうけど、終わりがあるならそれまで踏ん張ってみてもいい。

もう少し何かを探して、それから干からびよう。