プリキュア楽曲レビュー

※書いたのが2019年頃?なのでご了承を。書いた記憶は失われている…

 

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プリキュア楽曲のススメ

2004年「ふたりはプリキュア」放映開始以来、メイン層の幼女たちのみならずその親たち、さらには大きなお友達も魅了し続け、国民的アニメの一つとして数えられるにまで至ったプリキュアシリーズ。既成概念に囚われず常に新しい挑戦を続けるキャラクターやストーリー構成が高く評価されているが、主題歌をはじめとする楽曲に魅了されるファンも多い。

幼女たちが楽しめるものというベースは変わらないが、ストーリーと同様に楽曲もまた変化を続けている。今回はそんなバラエティ豊かなプリキュア楽曲の中から、筆者が特にオススメするものを部門ごとに分けてご紹介しよう。ただし、筆者はフレ~プリアラまでしか全話視聴できていないので、その間の作品に傾注してしまうことをご容赦願いたい。

なお、部門内での表示順は放映順であり、作品タイトル横の数字は放映が開始した年を表している。

 

オープニング部門

 

プリキュア5、フル・スロットル GO GO!

作品:Yes!プリキュア5GoGo!(2008)

作詞:只野菜摘、作曲:間瀬公司、編曲:家原正樹

歌:工藤真由 with ぷりきゅあ5

初めてカラフルなプリキュアたちが登場し、今に至るプリキュアの歴史を形作ったと言っても過言ではないプリキュア5シリーズ。その2作目、Yes!プリキュア5GoGo! のオープニングは非常にアップテンポで力強い楽曲に仕上がっており、2年目を迎えますますパワーアップする作品を象徴するかのようだ。メインボーカルは五條真由美と共にプリキュア歌姫の頂点とも評される工藤真由。安定した歌唱力で勢いよく歌い上げるその声に、元気をもらえること間違いなし。

 

ラ♪ラ♪ラ♪スイートプリキュア♪ 

作品:スイートプリキュア♪(2011)

作詞:六ツ見純代、作曲:marhy、編曲:久保田光太郎

歌:工藤真由(キュア・カルテット)

東日本大震災の時に放映されており、震災に沈む幼女たちに元気を授けてくれていたスイートプリキュア♪。そのオープニングはスイート(組曲)という音楽がモチーフの作品にふさわしいものとなっている。ギターソロから始まるイントロは唯一無二で、楽曲への印象を大いに高めている。その静かなイントロからサビにかけて徐々に盛り上がっていく構成も心地よく、長期シリーズのオープニングを担う楽曲でありながら飽きがこない。後期エンディングはこの曲の別バージョンで、震災の経験を踏まえ様々な絆にフィーチャーする歌詞に変わっている。

 

Happy Go Lucky! ドキドキ!プリキュア

作品:ドキドキ!プリキュア(2013)

作詞 - 藤林聖子、作曲 - 清岡千穂、編曲 - 池田大介

歌 - 黒沢ともよ

ここで筆者が最も好きなシリーズ、ドキドキ!プリキュアのオープニングが登場。本作品の主人公相田マナの生き様を投影したような真っ直ぐで迷いのない楽曲に仕上がっている。全体を通してアップテンポなメロディに詰め込まれた歌詞は、口ずさむだけでテンションが上がってくる。アイカツ!アイマス声優としてお馴染みの黒沢ともよの歌唱で、かわいげのある歌声が絵柄や曲調と抜群の相性。2番の歌詞に突然「マシュマロ」という言葉が出てくるが、映画を見ているとこの意味がわかり、そして涙ぐむ。

 

エンディング部門

 

H@ppy Together!!!

作品:フレッシュプリキュア!(2009)

作詞 - 六ツ見純代、作曲 - marhy、編曲 - 村田昭、marhy

歌 - 林桃子

ダンスをモチーフにしたフレッシュプリキュア!は、エンディングでの3Dアニメーションを初めて取り入れるなどプリキュア5と共に後々まで続く伝統を築き上げた金字塔とも言える作品。その後期エンディングであるこの曲は、落ち着いたメロディとハスキーな林桃子女史の声がどこか物悲しさを感じさせ、タフな展開の続くフレプリ後半を象徴するかのよう。映像表現にもこだわっており、イントロではまさかのロボットダンスが披露される。また、サビ中に一瞬アップになるキュアパインのかわいさは必見。

 

プリキュア・メモリ

作品:ハピネスチャージプリキュア!(2014)

作詞 - 只野菜摘、作曲 - 小杉保夫、編曲 - Dr.Usui

歌 - 吉田仁美

プリキュアエンディングを語る上でこの楽曲は外せないだろう。10周年記念作品であるハピネスチャージプリキュア!の前期エンディング、プリキュア・メモリだ。イントロなしにいきなりサビから始まる勢いのある構成、吉田仁美のかわいさと芯の強さを感じる歌声、表情も動きも豊かなエンディング映像。曲単体としての完成度も申し分ないが、さらにこの曲には10周年記念としてのサプライズが隠されている。2番の歌詞に、ハピチャまでの全ての作品タイトルが含まれているのだ。長年プリキュアを見続けてきてよかった、そんな風に思わせてくれる記念楽曲となっている。春の映画6作目ではNewStage3 Versionとしてそれまでのピンクチーム総出で歌い上げるものとなっており、さらなる感動が。

 

夢は未来への道

作品:Go!プリンセスプリキュア(2015)

作詞 - マイクスギヤマ、作曲・編曲 - 石塚玲依

歌唱 - 北川理恵

努力と友情でプリンセスへの道を切り拓く。丁寧な話作りで熱心なファンも多くいるプリンセスプリキュア。その後期エンディングはまさに彼女たちの生き様を表した楽曲となっている。ミュージカル女優の北川理恵が歌い上げる楽曲は、プリンセスの名を背負う作品にふさわしく格調高いメロディとなっており、放映後も続いていく彼女たちの人生を思わせてくれる。また歌詞が4人のプリキュアそれぞれに合わせて4パターンあり、エンディングではその内どれかが放映されていた。

 

劇中歌部門(映画含む)

 

HEART GOES ON

作品:ハートキャッチプリキュア!(2010)

作詞 - 青木久美子、作曲 - 高取ヒデアキ、編曲 - 籠島裕昌

歌 - 工藤真由、池田彩

プリキュア劇中歌と言われてこの曲を挙げない者はいないだろう。プリキュア最高傑作との呼び声も高いハートキャッチプリキュアより、HEART GOES ONだ。高取ヒデアキ作曲によるこの曲は、悩みに打ち勝って前に進んでいこうとする登場人物たちの思いを代弁するかのような力強い楽曲となっている。初出の36話ではこの曲をバックにして、悩みに打ち勝ち学園祭を楽しむファッション部のメンバーたちが映され、サブキャラクターたちも深く掘り下げてきたこの作品の集大成とも言える回となっている。

 

たからもの

作品:映画 ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス (2013)

作詞 - 六ツ見純代、作・編曲 - 高木洋

歌 - 相田マナ(生天目仁美)・菱川六花(寿美菜子)・四葉ありす(渕上舞

またまたドキプリから今度は劇場版の挿入歌。プリキュア楽曲では屈指のしっとりとした曲調。そこから想像されるように、映画はタイトルがまるで詐欺であるかのような展開で進んでいく。ネタバレになるので明言は避けるが、「たからもの」というタイトル、また歌唱が幼馴染の主人公3人によるものというところに貫かれたテーマを感じる。ちなみに主演の生天目仁美がドキプリ放映終了直後に公開したブログ記事のタイトルが「たからもの」であり、この内容も涙を誘う。

 

勇気が生まれる場所

作品:映画 ハピネスチャージプリキュア! 人形の国バレリーナ(2014)

作詞 - こだまさおり、作・編曲 - 高木洋

歌 - キュアラブリー中島愛)、キュアプリンセス潘めぐみ)、

  キュアハニー(北川里奈)、キュアフォーチュン(戸松遥

歴代屈指とも称されるハピチャ劇場版、人形の国バレリーナ。誰かを救いたい、だけど自分の不完全さがそうはさせてくれない。その苦しみを乗り越えた先に待ち受けるものとは。そんな映画のテーマがこの一曲に集約されており、まさに劇中歌とするにふさわしい楽曲となっている。ちなみに映画のゲストキャラクターを演じるのは堀江由衣。声優ファン的にも垂涎の作品だ。

 

番外編:百合アニメとしてのプリキュア

プリキュアはその特性上、女性同士の絡みが大変多く、その中には夫婦共称されるほど濃密な関係性を築き上げているキャラもある。1シリーズ50話かけて描き上げられる関係性は、百合ファンたちをも唸らせるほどだ。曲紹介の最後として、そんな百合要素をふんだんに含んだ楽曲を紹介してこの項を終えたいと思う。

 

希望はつづく

作品:スイートプリキュア♪(2011)

作詞:青木久美子、作曲・編曲:藤澤健至

歌:響&奏(CV:小清水亜美折笠富美子

幼馴染でありながらも、ある事件がきっかけで喧嘩ばかりする仲となってしまったスイプリの主人公2人。物語冒頭ではお互い素直になれずにすれ違ってばかりいたけれど、ある時は自分たちの力で、またある時は他の人の力も借りながら、じっくりじっくりと関係性を修復していった。そうしてお互いがお互いを信じ、言いたいことも素直に言える関係に。そんな2人のイチャラブが表現されているのがこの曲。素直に言い合える仲に戻ったといっても、素直に表明しすぎなのでは……。

 

夏の流星群

作品:ドキドキ!プリキュア(2013)

作詞:青木久美子、作曲:林ももこ、編曲:安保一平

歌:生天目仁美(相田マナ)&寿美菜子(菱川六花)

こちらは前者の響&奏とは対照的に、ずっと幼馴染で、ずっと親友であり続けた2人。お互いの癖とか、悩みがあることだってお見通し。向こうが新婚ならこっちは熟年夫婦。そんな2人のデュエットソングは、夜空とかお花とか、そうした眼に映るものを通してお互いの友情を確かめる、慎ましい楽曲となっている。前のストレートな歌詞とは大違いだ。とは言え本編ではお互い愛してるなんて言い合っちゃってたりするので、どっちもどっちだったりするのだが……。