2018-01-01から1年間の記事一覧

夜なのか朝なのか分からない時間。 この時間の空気と同じように私の頭も凛としている。 この空気感、この時間帯に起きている者が感じられる特権。音もなく光も薄く、冷たさだけが肌を刺す。冷たさは頭をすっきりさせる。 中途半端な暖かさのせいだろうか、最…

たこぱ

たばこを吸う。 たばこの先がぽーっと明るくなる。 口の中に香ばしさとかすかな甘みを感じる。 息を吐く。 白い煙が散り散りに消えていく。 口の中の香ばしさも消えていく。 たばこを強く吸う。 たばこの先が、さっきよりほんの少し強く光る。 口の中が少し…

ノイジーマイノリティ

ぐわーっ ぐわーっ ばばばばばば びーーーーーーーーー どどどどどどどどどどごごごごごどどごどごそおどおほほほごごごごごご ががががががががががあああがががああががががががあがががあががあああ ばあばばばああああばっばばばばばばばばばばぶぶぶぶ…

ゆにばーす

真ん中に球体があって、それより小さな球体が周りをぐるぐる回っている。 太陽系も原子も、イメージはだいたいこんなところだろう。 そういえば、銀河系も同じように中心に核があって、その周りを物体がぐるぐる回っているらしい。太陽系とか原子のようなシ…

人生に飽きないために

2年ほど前にアボリジニアートの展覧会を見たことがある。 オーストラリアの先住民アボリジニが移動のために描いていた地図を基にした作品群で、のっぺりした画面と力強い色味が印象的だった。 さらに遡って高校の時、美術の授業で油絵を描く回があった。 描…

サラダボーイ

顔がかゆい、むしょうにかゆい 必死に掻いてもまだかゆい ぽりぽり ぽりぽり ひたすらひたすら掻き毟る ザクッ ボトッ あっ、耳がとれた 不注意だ 顔中掻き毟っていたら、指が引っかかってしまった 耳が取れた部分からは体液がにじみ出て、むき出しの身をふ…

にぼし その2

にぼしを食べようとして、自分と同じような顔を見て、命を感じる。 自分と同じような顔だから、特別に強く命を感じてしまう。 それは、自分も命ある存在なのだと、強く信じていることを示している。 そして、目の前のにぼしのように、自分もいずれ命をなくす…

にぼし その1

最近にぼしをよく食べる。 帰ってきたらすぐに、野球を見たりマインスイーパをしたりしながら、それこそ食事の代わりと言わんばかりにばくばくと食べてしまう。 ただ、食べている時にふと感じてしまうことがある。 にぼしひとつひとつに頭があり目があり口が…

偏食が許容されるたった一つの冴えたやり方

牛乳がけフルーツグラノーラは多面的に万能食であり、それだけを食べ続けていればよい。 以下に、その根拠を列挙する。 1. 栄養的万能性 穀物を植物油に浸してオーブンで焼くというグラノーラの基本的製法から、炭水化物と脂質は十分に含有されている。また…

ほも・さぴえんす

大学受験の時は物理や化学が好きで、考えの流れに乗って次から次へと答えが出てくる感覚が心地よかった。 身の回りの物質や現象がこうも理路整然と説明されるのだと、いわゆる自然科学の美しさの一端に触れた気持ちになった。 でもある時、 自然「が」説明「…

あきたけじょう

管理され、ある場所から外に出ずに一生を終えるような暮らしは、ディストピア的と思われている。 自由意思が保障され、好きな時に好きなところに好きなものを好きな人と、そんな暮らしが理想的だと思われている。 わたしもそう思っていた。 けれども、「好き…

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家が川沿いにあるからか、灯りに誘われて様々な虫が集まってくる。 大半は小さくて名前も知らないような虫ばかりだけど、ガガンボだけはひときわ目立って、今日”も”いるということを意識させる。 近寄ると活発に飛び回って、もともと大きな存在感をさらに強…